一般社団・財団法人に移行する場合の財産はどうするのか?−Part1−
2006年12月11日

非営利法人総合研究所(NPO総研)
主席研究員 福島 達也

 特例民法法人を、その法人格を継続させたまま通常の一般社団法人・一般財団法人に移行させるためには、移行の時点での正味財産(通常の一般社団法人・一般財団法人に移行する時点で清算したならば、当該法人の残余財産に置き換えることができるもの)に相当する額を、通常の一般社団法人・一般財団法人に移行後、計画的に「公益の目的」に支出させなければならないのだ。

 これは、現行の公益法人が清算した場合に、民法第72条の趣旨に鑑み、その残余財産が類似の公益目的のために引き渡されることと同様の効果を得ようとする制度なのである。

 気になるその「公益の目的」だが、公益目的支出計画に記載することができる事業等は、次のいずれかということになる。

(1)公益法人認定法に規定する公益目的事業
 通常の一般社団法人・一般財団法人に移行する前から継続して実施するか、通常の一般社団法人・一鹿財団法人に移行した後、新たに実施するかを問わず、公益法人認定法に規定する公益目的事業に該当する事業を実施する場合には、当該事業を公益目的支出計画に記載することが可能である。

(2)一般社団法人・一般財団法人への移行前から継続して実施する事業
 公益法人認定法に規定する公益目的事業に該当しなくとも、特例民法法人として実施していた事業を、通常の一般社団法人・一般財団法人に移行した後も継続して実施する場合には、当該事業を公益目的支出計画に記載することが可能である。
 ただし、当該法人の本来事業でないもの、本来事業であっても通常の一般社団法人・一般財団法人に移行する前に所管官庁に公益に関する事業としてふさわしくない旨の指導を受けていた事業等については、これらの事業を通常の一般社団法人・一般財団法人に移行した後も継続して実施する場合であっても、公益目的支出計画に記載することはできない。

(3)類似の事業を目的とする公益法人認定法に基づく公益法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人等に対する寄附、国、地方公共団体に対する寄附


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